線形系な相性診断

周りに恋愛未経験の学生は意外に多い。しかしながら皆が興味ないかと言えばそうではないと思う。少なくとも「クリスマスの予定は埋まってるよ、バイト」とか「学生の本分は勉強だからクリスマスも勉強します」とクリスマスの時期に聞いてもいないのに話題を提供しだす人は誰よりも恋愛に飢えているように見受けられる。しかしそれではなぜできないのであろうか?それはそもそも自分の理想と自分にとっての理想の両方が理解できていないからだと思う。それでは進むべき方向を見失い、例えるなら何の論理的根拠がないのにトンデモカガクを唱える人々と同じくらい不毛な行為である。己を理解し他人を理解して初めて恋愛のスタートラインに立つことが出来るということは明確である。

本来であれば小学生、中学生、高校生時代とそれぞれの甘酸っぱい時代を経て経験的にこれらのことを理解するはずだが、学生時代こじらせてしまった者はそれがまるっきり抜けてしまっている。十数年かけて得られる経験はもう得ることは叶わない。しかしここで諦めるのは軽率である。経験則というものは人類が築き上げてきた科学によって制御可能にしてきた歴史がある。今から紹介する科学的な相性診断によって足りない経験を補えばよい。これが活用できれば成功率100%の恋愛が可能といっても過言でない。

 

重要なのは自分と相手の相性である。まず自分を知るには色んな気質を分類し自分の近しい型を見つけるのが得策である。同様に相手の気質にも型を当てはめる。そしてその型と相手の型の相性を測る手段として微分方程式に落とし込みお互いの関係性を時間発展として予測することを考える。いわば科学的な占いをするととらえればよい。文章では伝わりにくいので実際の方程式と図を用いて説明しよう。

Rを自分の相手に対する好意の量とする。正が好き、負が嫌いとする。

Jを相手の自分に対する好意の量とする。同様にして正が好き、負が嫌いとする。

R、Jは時間tをパラメータとした関数と考えると、R-J平面を考えた時

図1.象限と相性


ととらえることが出来る。

人の気持ち、とりわけ恋愛感情というのはしばしば相手の心情に影響されることから、気持ちの時間変化を

 \dot{R} = aR + bJ \tag{1}

 \dot{J} = cR + dJ \tag{2}

という2つの微分方程式で表わせると考えてよい。(1)式は自分の好意の時間変化、(2)式は相手の好意の時間変化を表す。a,b,c,dは実定数である。この連立微分方程式を解き、R-J平面での軌跡から、十分時間が経ったときどの象限にいるのかを捉えることが出来ればある程度の相性を予測できるという仕組みだ。

簡単な例として

 \dot{R} = 2J \tag{3}

 \dot{J} = -R \tag{4}

という方程式を考える。そもそもRとJという関数はRomeoとJulietの頭文字からとっている。世界的に有名なカップルというだけのことである。ここで(3)式はRomeoのタイプだがRomeoはJulietが好きであればある程好きになる性格だ。対してJulietは移り気なタイプでRomeoが好きでいればいるほどRomeoのことが嫌いになる。逆にRomeoが離れる程Romeoのことが好きになる性格だ。このとき初期条件をRomeoはJulietのことが好き、つまり、JulietはRomeoのことを何とも思っていない、つまりとする。この微分方程式を解き、図示すると以下のようになる。

図2.a=0,b=2,c=-1,d=0


これが表しているのは両想い、Julietの片思い、仲たがい、Romeoの片思いを繰り返すことである。これが幸せかは別としてこのような予測となった。

ここで(1)式、(2)式のa,b,c,dの組み合わせは正、0、負の3通りを取ると考えるだけでも81通り、またa,b,c,dの大小によって挙動が変わったりするため全ての可能性を列挙するのは難しい。そのため意義があると思われる型とそれらの相性をいくつか考えていきたい。

よくあると思われるタイプを5つほど挙げる。

 \dot{R} = Rは直情型である。他者の気持ちを考えず自分の意見優先させるタイプだ。

 \dot{R} = Jは他者依存型である。相手の出方にしか自分を確立できない自立できないタイプだ。

 \dot{R} = R+Jはバランス型である。あまり言うことはない。

 \dot{R} = -R+Jは慎重型である。少し自制してしまうタイプなのかもしれない。

 \dot{R} = R-Jはカエル化現象型である。よく相談してくるタイプである。

 \dot{R} = -R-Jはあまのじゃく型である。生きづらそう。


初期条件は全て\ R(0)=1,\ J(0)=0とする。基本的にグラフを書くとき初期時間は\ t=0とすればよいのだがグラフの軸が消えるといった問題が発生したため負の値から始めたものもある。\ (R,J)=(1,0)から矢印の向きに軌跡が伸びていると考えて貰いたい。

直情型( \dot{R} = R)と慎重型( \dot{J} = R-J)の場合

図3.a=1,b=0,c=1,d=-1



これは何のリスクもなく両想いになった。最高の相性と言える。

直情型( \dot{R} = R)とあまのじゃく型( \dot{J} = -R-J)の場合

図4.a=1,b=0,c=-1,d=-1



となり残念ながら自分の片思いで終わってしまう。

他者依存型( \dot{R} = J)とカエル化現象型( \dot{J} = -R+J)の場合複雑な挙動をする。

図5.a=0,b=1,c=-1,d=1


片思い、仲たがい状態と紆余曲折するが最終的には両想いとなりハッピーエンドを迎える。おそらく仲たがい状態の中でカエル化現象型が幾度となく友人に相談している光景が目に浮かぶ。

今まで発散する例を見てきたが収束する場合もある。例えば他者依存型( \dot{R} = J)とあまのじゃく型( \dot{J} = -R-J)の場合

図6.a=0,b=1,c=-1,d=-1



となり\ (0,0)に収束していく。これはお互い無関心の状態となるため良い相性とは言えないため注意が必要である。

 

実定数の大小を変えると挙動が変わるケースがある。例えば慎重型同士でも\ a=d=-1,\ b=c=2なのか\ a=d=-2,\ b=c=1での挙動を比べると

図7.a=-1,b=2,c=2,d=-1

図8.a=-2,b=1,c=1,d=-2



上図の場合両想いへと発散するが、下図の場合\ (0,0)の無関心状態へと収束してしまう。

これらの議論よりa,b,c,dの大小を変えたり、当然初期条件をずらすだけでも挙動はずれていくため実際解いてみないと挙動を把握するのは難しい。これは微分方程式の中でも微分方程式の線形系を考える上で単純な例なので色々実験してみて欲しい。グラフの出力はmathematicaで行ったがコードは以下の通りである。

 

ode1={x'[t]==2y[t],x[0]==1};

ode2={y'[t]==-x[t],y[0]==0};

sol=NDSolve[{ode1,ode2},{x,y},{t,0,5}]

g1=ParametricPlot[{x[t],y[t]}/.sol,{t,0,5}]

 

これは最初に説明したRomeoとJulietの例である。活用してみて欲しい。

 

 

原稿を書いてみて思ったのだが、自分の型、気持ちは自分で頑張って分析するとして、そもそも相手の型、気持ちはどう測ればよいのであろうか。それは小中高で培って得られる能力である。用いるべき理論は得られたが、この方程式を駆使するにはやはり小中高しかやり直すしかないという結論に至ってしまう。科学というのは難しいもので理論はあっても使えないということはしばしばである。次は相手のタイプを測る科学的理論を構築できればと思う。

 

参考文献

ストロガッツ,スティーヴン(1994)『ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで』(田中久陽ほか訳)丸善出版.

経路積分の紹介

1. はじめに

こんにちは.物理学科3年生のミヤネといいます.12/16のアドカレを担当します.

今回は,場の量子論の発展の立役者である「経路積分」を中心とした話題を紹介しようと思います.まずは経路積分を定義して,それの応用としてスカラー場の量子化を見ていきます.その後,少し話題はそれますが,Feynmanの論文を参考にしてShrödinger方程式の導出を紹介したいと思います.

4章と5章の内容が書きたかったので,時間を見つけて少しずつ書きあげていたところ,すごい分量になってしまいました.物理をやったことがない方にも向けて,どの話題もself-containedに仕上げたつもりですが,量が多すぎて逆に読みづらくしてしまっているかもしれません1

この記事を書くにあたってよく参考にした文献には,私なりのReviewを書いてみました.全部読めているわけでもないですし,ちゃんと理解できてるわけでもないですが,もしよかったらそこも目を通していただければと思います2

本文を書き終わってから注意書きしていないことに気がついたのですが,第3,4章は自然単位系c=\hbar=1で書いてます.そういえば,素粒子論の先生の講演のアーカイブYoutubeで聞いていたところ,最初のほうのスライドで「1=2=-1=\piかも?」みたいな感じの注意があったのを思い出しました.どうやら,その方面の研究者はあまり係数を気にしないということを言いたかったらしいです3

2. 予備知識

本稿を読むためには,量子力学の知識が少し必要ですので,ここではその確認を簡単にしておきたいと思います.また,必須ではないですが,解析力学的な背景を知っているとより楽しめると思いますので,最小作用の原理についても少し触れておきたいと思います4

ブラ-ケット記法

「ブラ-ケット記法」という単語は,他の学科の皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?この記事はこの記法をよく使っているので簡単に紹介します.

量子力学では「状態\ket{a}のなかに状態\ket{b}を見つけ出す確率P」を

P\equiv |\braket{b|a}| ^ 2

というように定義してしまいます.このとき,\braket{b|a}を(確率)振幅といい,ある複素数値をとります.状態\ket{a}というのは考える系によって変わってきますが,基底を用いることが多いです.例えば,スピン2準位系では,ある軸に対して上向き\ket{\uparrow}か下向き\ket{\downarrow}かどうかを考えます.

また,今回よく使うことになるのが調和振動子の基底で,\ket{0},\ket{1},\cdots,\ket{n},\cdotsとなります.基底が有限ではないのは少し不思議ですが,これらは次の直交関係

\braket{n|m} = \delta _ {nm}

を満たしており,ちゃんと基底になっているといえます.

状態\ket{a}を別の状態\ket{a'}に移すような対応関係を考えます.これらはある1次変換\hat{A}で移すことができるので

\ket{a'} = \hat{A}\ket{a}

となり,この\hat{A}演算子(operator)といいます.基本的に,演算子は非可換であり

\hat{A}\hat{B}\ket{a}\neq\hat{B}\hat{A}\ket{a}

となっています.もちろん,可換な場合もあるので注意は必要です.

状態\ket{a}に対して演算子\hat{A}をうまくとってくると,

\hat{A}\ket{a}=A\ket{a} \ ,\ \ A\in\mathbb{C}

という関係が成り立つようにすることができます.このとき,\hat{A}演算子で,Aはある複素数値です.このA\hat{A}固有値といいます.ここまでは算術の話ですが,実は量子力学においてはこの固有値が観測する物理量となります.こういわれてもあまりピンとは来ないと思いますが,次の調和振動子の例を見れば少しは分かりやすくなるのではないでしょうか.

先ほど,調和振動子の基底は状態\ket{n}でかけると言いましたが,これは数演算子\hat{n}固有値nであるような状態であり,

\hat{n}\ket{n} = n\ket{n}

という関係が成り立っています.この系におけるハミルトニアン演算子

\hat{H} = \hbar\omega\left(\hat{n}+\frac{1}{2}\right)

とかけることがわかっており,この演算子固有値が系のエネルギーに対応します.例えば,真空状態\ket{0}のエネルギーE _ 0

\hat{H}\ket{0} = \frac{\hbar\omega}{2}\ket{0} \equiv E _ 0\ket{0}

となっているので,E _ 0=\hbar\omega/2です (零点エネルギー).同様の考察をすれば,粒子がn個の状態のエネルギーE _ n

E _ n = \hbar\omega\left(n+\frac{1}{2}\right)

となり,離散的なエネルギーの値をとることがわかります.固有値が実際の物理量(今回はエネルギー) に対応するということが,少しでも理解していただけたかなと思います.

完全性

完全性(completeness relation)というのは,基底\ket{a _ 1},\ket{a _ 2},\cdots,\ket{a _ n},\cdotsに対する条件

\sum _ {n=1} ^ {\infty}\ket{a _ n}\bra{a _ n}=\hat{1}

のことを言います.今回よく使うのは,やはり調和振動子の基底で

\sum _ {n=1} ^ {\infty}\ket{n}\bra{n} = \ket{0}\bra{0}+\ket{1}\bra{1}+\cdots = \hat{1}

です.状態は離散的な状況ではなく,例えば\ket{\bm{x}}のように連続的な状況も考えますので,このときの完全性は

\int\text{d} ^ 3 x\ket{\bm{x}}\bra{\bm{x}}=\hat{1}

積分の形で書けることになります.

ここから先を説明すると非常に長くなってしまうので,完全性については以上の計算規則までの説明にしておきます.数学的な側面はともかく,物理的な解釈は面白いので,気になった方はFeynman [2],[6]を読んでみてください.特に,[6]のほうは,完全性を含めたブラ-ケット記法の解釈の仕方の話ががよく書かれていたと思います5

時間発展演算子

時間依存する状態\ket{\psi,t}がSchrödinger方程式

i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\ket{\psi,t} = \hat{H}\ket{\psi,t} \tag{2.1}

を満たしているとしましょう.ここで,正体は不明なのですが,あるユニタリー演算子\hat{U}(t)が存在して,それが状態ケットの時間をt秒だけ発展させるとしましょう.つまり

\ket{\psi,t} = \hat{U}(t)\ket{\psi,0}

という関係が成り立っているとします.Schrödinger方程式(2.1)から,\hat{U}(t)を求めてみましょう.代入すると

i\hbar\frac{\partial \hat{U}(t)}{\partial t}\ket{\psi,0} = \hat{H}\hat{U}(t)\ket{\psi,0}

となります.ここで,\ket{\psi,0}はもはや時間tに依存しない状態ケットになっています.よって,演算子微分方程式が取り出せて

i\hbar\frac{\partial \hat{U}(t)}{\partial t} = \hat{H}\hat{U}(t) \tag{5.2}

というのが,\hat{U}(t)の方程式となります.ここで\hat{U}(t)

\hat{U}(t) = \exp\left[-\frac{i}{\hbar}\hat{H}t\right] \tag{5.3}

とおけば,これが式(5.2)を満たしていることはただちにわかります.この式(5.3)で与えられる\hat{U}(t)は,状態\ket{\psi,0}t秒だけ進める働きがあり,このことから,この\hat{U}(t)時間発展演算子といいます.この時間発展演算子は,ハミルトニアンがエルミートであること\hat{H} ^ {\dagger}=\hat{H}から,

\hat{U} ^ {\dagger}(t) = \exp\left[+\frac{i}{\hbar}\hat{H}t\right] = \hat{U} ^ {-1}(t)

であるため,ユニタリーであることが確かめられます.

次に,場の量子論を展開するうえで重要な「描像」という概念を紹介しましょう.

先に定義だけ述べてしまうと,時間依存する状態をSchrödinger描像といい,時間依存しない状態をHeisenberg描像といいます.例えば,先ほどの例だと\ket{\psi,t}はSchrödinger描像で,\ket{\psi}\equiv\ket{\psi,0}がHeisenberg描像でした.

Heisenberg描像は時間依存しない状態ケットを扱いますが,その代わりに演算子を時間発展させることで時間依存する系を取り扱います.これらの描像は,ただの表示の仕方の話なので,それらが意味する物理量-期待値-は本来同じはずです.すなわち

\braket{\psi,t|\hat{A} _ S|\psi,t} = \braket{\psi|\hat{A} _ H(t)|\psi}

のような関係が成り立つはずです.左辺はSchrödinger描像で,右辺がHeisenberg描像になっています.時間発展演算子を用いれば,\ket{\psi,t}=\hat{U}(t)\ket{\psi}なので

\hat{A} _ H(t) = \hat{U}\hat{A} _ S\hat{U} ^ {-1} = e ^ {i\hat{H}t/\hbar}\hat{A} _ Se ^ {-i\hat{H}t/\hbar}

のように演算子は変換されます.演算子を時間発展させるためには,このように\hat{U}(t)を左右から挟まないといけないことに注意してください.

最小作用の原理

少し量子力学から話題がそれますが,物理学の重要な定式化の一つであるラグランジアン形式を紹介したいと思います.このラグランジアン形式は根本的なところで経路積分にかかわってきます.なお,この節では自然単位系c=\hbar=1を用います.

座標q _ 1,\cdots,q _ N,速度\dot{q} _ 1,\cdots,\dot{q} _ Nを変数とする物理量をラグランジアンといい,

L(q _ 1,\cdots,q _ N,\dot{q} _ 1,\cdots,\dot{q} _ N) = L(q,\dot{q})

と書くことにします.位置と速度はそれぞれ時間tの関数なので,それの時刻t _ iからt _ fまでの積分作用(action)と呼び

S = \int _ {t _ i} ^ {t _ f}\text{d}t\ L(q(t),\dot{q}(t))

と書くことにします.

古典論では,粒子の経路q(t),\dot{q}(t)が一意的に定まることになっています.それは,「作用が最小となるような経路を粒子は動く」というア・プリオリな前提を与えることで決定することができます.この原理を最小作用の原理といいます.ここらへんの議論はあまり得意ではないのですが,ひとまずこの原理を前提として定式化を図ることにします.

この最小作用の原理を数式として適用し,その計算をすることで,方程式

\frac{\text{d}}{\text{d}t}\left(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}\right)-\frac{\partial L}{\partial q} = 0

が得られます.これはEuler-Lagrange方程式といわれ,古典論における運動方程式です.この方程式で古典論における粒子が通る道筋を決定することができます.

量子論だと,粒子が伝播する経路は一意的には定まりません.では,すべての粒子が自由に何も拘束されることなく運動しているかと言われれば,それはあまり現実的ではありません.量子論における粒子の運動は,確率振幅を決定する方程式が規定することになります.例えば,量子力学ではSchrödinger方程式です.

Schrödinger方程式は,相対論の効果(Lorentz不変性)を考慮していません.したがって,Schrödinger方程式を基礎方程式として,場の量子論を組み立てるのは困難でしょう6.そこで,そもそもLorentz不変性である量から基礎方程式を求めることを考えます.その方法が,上でやったラグランジアン形式になります.

場の量子論における方程式は,確率振幅によって記述されるので,それにともなってラグランジアンの変数は\phi,\partial _ {\mu}\phiとしておきます.このラグランジアンは,位置を変数にもっていないので,そこからlocalな成分をとりだすことが必要になってきます.そこで,

L(\phi,\partial _ {\mu}\phi) = \int \text{d} ^ 3 x\ \mathcal{L}(\phi(\bm{x}),\partial _ {\mu}\phi(\bm{x}))

ラグランジアンが空間積分の形で書けるとしましょう.この\mathcal{L}ラグランジアン密度といいます.この表式を用いれば,場の作用は

S = \int\text{d}t\int \text{d} ^ 3 x\ \mathcal{L}(\phi(\bm{x}),\partial _ {\mu}\phi(\bm{x})) = \int\text{d} ^ 4 x\ \mathcal{L}

と書けます.時間をt=x ^ {0}として,積分変数をまとめてしまいました.実はこの形がLorentz不変になっています7.したがって,この作用から古典論と同様にして運動方程式を導出することができ,さらにその方程式はLorentz不変性をもっています.その方程式は

\partial _ {\mu} \left(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial _ {\mu}\phi)}\right) - \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial\phi} = 0

であり,これが場の量子論におけるEuler-Lagrange方程式です.

例えば,Spinが0のスカラー場のラグランジアン密度は

\mathcal{L} = \frac{1}{2}\partial _ {\mu}\phi\partial ^ {\mu}\phi - \frac{1}{2}m ^ 2\phi ^ 2

であたえられます.この系の運動方程式は,Euler-Lagrange方程式に代入することで

(\partial _ {\mu}\partial ^ {\mu}+m ^ 2)\phi=0

と求められます.これはKlein-Gordon方程式といわれています.

以上で,preliminaryの部分は終わりです.

3. 経路積分

それでは経路積分のお話に入りましょう.

経路積分によって定義する量は,次の振幅

U(q _ a,q _ b;T)\equiv \braket{q _ b|e ^ {-iH(q,p)T}|q _ a} \tag{3.1}

であり,遷移振幅(transition amplitude)と言われています.この式は「状態\ket{q _ a}T秒間時間発展させた状態の中に,状態\ket{q _ b}を見出す確率振幅」ということができます.この量を,より計算しやすい形に書き直すのが経路積分による定式化です.

積分の形を導出するので,ひとまず区間を離散的に分割し,その極限をとる方針で行きましょう.まずは,時間TN個の区間に分割します.ここで,\varepsilon\equiv T/Nと定義すると,T=\varepsilon+\cdots+\varepsilonとなるので,完全性を用いれば

\begin{aligned} & \braket{q _ b|e ^ {-iH(q,p)T}|q _ a} \\ &= \int\text{d}q _ {N-1}\cdots\int\text{d}q _ {1} \\ &\hspace{15pt} \times \braket{q _ N|e ^ {-iH(q,p)\varepsilon}|q _ {N-1}}\cdots\braket{q _ 1|e ^ {-iH(q,p)\varepsilon}|q _ 0} \\ & = \prod _ k \left( \prod _ i\int\text{d}q _ k ^ i \right)\braket{q _ {k+1}|e ^ {-iH(q,p)\varepsilon}|q _ k} \end{aligned} \tag{3.2}

となります.添え字iは時空の添え字で,k区間の添え字であり,q _ 0=q _ a, q _ N=q _ bとしておきます.経路積分の説明で「あらゆる経路において足し合わせる」といったような説明がありますが,ここでの計算のことを意味しているのだと思います.いま,q _ 1,\cdots,q _ {N-1}\mathbb{R}上での積分変数なので,それらの取りうる値の組み合わせによってあらゆる経路が指定されることになるからです.(正確には\varepsilon\rightarrow 0の極限においてですが.)

さて,式(3.2において,それぞれの振幅\braket{q _ {k+1}|e ^ {-iH(q,p)\varepsilon}|q _ k}を計算しようと思うのですが,ここで一般に,qpの関数をそれぞれf(q),g(p)とおいて,それらを位置状態のブラとケット\bra{q _ {k+1}},\ket{q _ k}ではさんだものがどうなるかを考えます.f(q)をはさむ場合は,f(q)のべき級数展開を考え,それを右のケット\ket{q _ k}に作用させて,再びべき級数展開を戻せばいいので

\braket{q _ {k+1}|f(q)|q _ k}=f(q _ k)\braket{q _ {k+1}|q _ k} \tag{3.3}

となります.\braket{q _ {k+1}|q _ k}の値ですが,物理学ではよく

\delta(x-x _ 0) = \int\frac{\text{d}p}{2\pi}e ^ {ip(x-x _ 0)}

という運動量空間での積分による\delta-関数の表示を使いますので,それを用いて

\braket{q _ {k+1}|q _ k} = \prod _ i \delta(q _ k ^ i-q _ {k+1} ^ i) = \left( \prod _ i\int\frac{\text{d}p _ k ^ i}{2\pi} \right) \exp\left[ i\sum _ i p _ k ^ i(q _ {k+1} ^ i-q _ k ^ i) \right]

のようにします.したがって,式(3.3)

\braket{q _ {k+1}|f(q)|q _ k} = f\left(\frac{q _ k + q _ {k+1}}{2}\right)\left( \prod _ i\int\frac{\text{d}p _ k ^ i}{2\pi} \right) \exp\left[ i\sum _ i p _ k ^ i(q _ {k+1} ^ i-q _ k ^ i) \right]

のようになります.少しfの中身をいじりましたが,値自体は変わりません.一方で,g(p)については

\begin{aligned} \braket{q _ {k+1}|g(p)|q _ k} & = \left( \prod _ i\int\frac{\text{d}p _ k ^ i}{2\pi} \right) \\ &\times g(p _ k) \exp\left[ i\sum _ i p _ k ^ i(q _ {k+1} ^ i-q _ k ^ i) \right] \end{aligned}

のようになります8.よって,一般の2変数関数F(q,p)

\begin{aligned} \braket{q _ {k+1}|F(q,p)|q _ k} & =\left(\prod _ i\int\frac{\text{d}p _ k ^ i}{2\pi}\right) \\ &\times F\left(\frac{q _ {k+1}-q _ k}{2},p _ k\right)\exp\left[i\sum _ i p _ k ^ i(q _ {k+1} ^ i-q _ k)\right] \end{aligned}

となります9.これを用いれば式(3.2)を計算することができます.つまり,

\begin{aligned} &\braket{q _ b|e ^ {-iH(q,p)T}|q _ a} = \left( \prod _ {i,k}\int\text{d}q _ k ^ i\int\frac{\text{d}p _ k ^ i}{2\pi} \right) \\ & \times \exp\left[ i\sum _ k\left( \sum _ i p _ k ^ i(q _ {k+1} ^ i-q _ k ^ i)-\varepsilon H\left(\frac{q _ {k+1}+q _ k}{2},p _ k\right) \right) \right] \end{aligned}

です.最後に,\varepsilon\rightarrow 0の極限をとってみましょう.eの指数は

\begin{aligned} &i\sum _ k\left( \sum _ i p _ k ^ i(q _ {k+1} ^ i-q _ k ^ i)-\varepsilon H\left(\frac{q _ {k+1}+q _ k}{2},p _ k\right) \right) \\ &= i\varepsilon\sum _ k\left( \sum _ i p _ k ^ i\frac{q _ {k+1} ^ i-q _ k ^ i}{\varepsilon}-H\left(\frac{q _ {k+1}+q _ k}{2},p _ k\right) \right) \\ &\rightarrow i\int _ {0} ^ {T}\text{d}t\ \left( \sum _ i p ^ i\dot{q} ^ i-H\left(q,p\right) \right) \end{aligned}

のようになります.この極限操作に伴い積分変数も変わってきますが,kの数が無限大になるので

\prod _ {i,k}\int\text{d}q _ k ^ i\int\frac{\text{d}p _ k ^ i}{2\pi} \rightarrow \int\mathcal{D}q(t)\mathcal{D}p(t)

と改めて書くことにしておきます.この記法を用いれば,遷移振幅(3.1)経路積分による定式化は

\begin{aligned} &\braket{q _ b|e ^ {-iH(q,p)T}|q _ a} = \int\mathcal{D}q(t)\mathcal{D}p(t) \ \\ &\hspace{20pt} \times \exp\left[ i\int _ {0} ^ {T}\text{d}t\ \left( \sum _ i p ^ i\dot{q} ^ i-H\left(q,p\right) \right) \right] \end{aligned} \tag{3.4}

となります.これで位相空間における経路積分が得られました.

導出においてはあまり言及はしていませんでしたが,式(3.4)\expの中身は,i\times (\cdots)の形をしていますので,位相のズレとみなすことができます.もし,pについての積分が実行できれば,より簡単に

\begin{aligned} & \int\mathcal{D}q\mathcal{D}p \exp\left[ i\int _ {0} ^ {T}\text{d}t\ \left( \sum _ i p ^ i\dot{q} ^ i-H\left(q,p\right) \right) \right] \\ &\hspace{30pt} = \int\mathcal{D}q \exp\left[ i\int _ {0} ^ {T}\text{d}t\ L(q,\dot{q}) \right] \\ &\hspace{30pt} = \int\mathcal{D}q\ e ^ {iS} \end{aligned}

と書くことができます.この表式より,作用Sが位相のズレをあらわしていると考えることができます.この考え方は,第5章で述べるFeynmanの仮定に関わってきます.

4. 場の量子化

経路積分による量子化の恩恵として,一番簡単なスカラー場の量子化を紹介していきたいと思います10

量子化」と単にいいましたが,ここではFeynman則(Feynman rules)というものが導出できれば量子化が達成されたとひとまずみなします.Feynman則というのは,後で定義する「相関関数」の具体的な値を計算するための方法となっています.

相関関数(correlation function)というのは,

\braket{0|\phi(x _ 1)\phi(x _ 2)|0} \ ,\ \ (x _ 1 ^ 0>x _ 2 ^ 0)

で定義されます11.以下ではx _ 1 ^ 0>x _ 2 ^ 0の状況で議論を進めていこうと思います.この式の意味ですが,\phi(x)が実スカラー場のoperatorであることに注意すれば「状態\phi(x _ 2)\ket{0}のなかで,状態\phi(x _ 1)\ket{0}を見つける確率振幅」と解釈することができます.状態\phi(x _ 1)\ket{0}というのが少し謎ですが,いろいろな粒子同士の散乱振幅を調べるときにこの関数が出てくることになり,そこにモチベーションがあります.

この相関関数は

\begin{aligned} & \braket{0|\phi(x _ 1)\phi(x _ 2)|0} = \\ & \lim _ {T\rightarrow\infty(1-i\varepsilon)} \frac{\int\mathcal{D}\phi\ \phi(x _ 1)\phi(x _ 2)\exp\left[i\int\text{d} ^ 4x\mathcal{L}\right]}{\int\mathcal{D}\phi\ \exp\left[i\int\text{d} ^ 4x\mathcal{L}\right]} \end{aligned} \tag{4.1}

という関係を満たしており,ここに経路積分がかかわってきます.なお,指数関数の肩の積分-T\rightarrow T,\ \mathbb{R} ^ 3で行います.

場の状態にたいして,公式(3.4)を用いると

\begin{aligned} \braket{\phi _ b|e ^ {-iHT}|\phi _ a} &= \int\mathcal{D}\phi\mathcal{D}\pi \ \\ & \times \exp\left[ i\int\text{d} ^ 4 x\ \left( \pi\dot{\phi}-\mathcal{H} \right) \right] \\ & =\int\mathcal{D}\phi \ \exp\left[ i\int\text{d} ^ 4 x\ \mathcal{L} \right] \end{aligned}

のようになります.公式を用いる際,運動量密度\piハミルトニアン密度\mathcal{H}を用いることによって,4元量の積分に書きなおしました.このようにして,ハミルトニアンによる定式化からラグランジアン形式に移行しました.この等式を使って式(4.1)を導出していきましょう.

まずは,式(4.1)の分子

\int\mathcal{D}\phi\ \phi(x _ 1)\phi(x _ 2)\exp\left[i\int\text{d} ^ 4x\mathcal{L}\right] \tag{4.2}

の評価から考えましょう.\int\mathcal{D}\phiというのは「x _ 1,x _ 2で逐次積分する」ということなので,まずは空間成分\bm{x}積分することを考えましょう.この際,\phi _ i(\bm{x})\equiv\phi(x _ {i} ^ 0,\bm{x})と定義すると

\int\mathcal{D}\phi=\int\mathcal{D}\phi _ 1\int\mathcal{D}\phi _ 2\int\mathcal{D}\phi(\bm{x})

とかけることになります.さて,それでは式(4.2)\phi(\bm{x})から積分していくことを考えましょう.つまり,

\begin{aligned} \int\mathcal{D}\phi(\bm{x})& \phi(x _ 1)\phi(x _ 2) \exp\left[i\int _ {-T} ^ {T}\text{d} ^ 4x\mathcal{L}\right] \\ &= \phi(\bm{x} _ 1)\phi(\bm{x} _ 2) \int\mathcal{D}\phi(\bm{x}) \exp\left[i\int _ {-T} ^ {T}\text{d} ^ 4x\mathcal{L}\right] \end{aligned}

です.ここで,積分の部分が公式(3.4)の形になっていることに気がついたでしょうか.つまり

\begin{aligned} & \int\mathcal{D}\phi(\bm{x}) \exp\left[i\int _ {-T} ^ {T}\text{d} ^ 4x\mathcal{L}\right] \\ &= \int\mathcal{D}\phi(\bm{x}) \exp\left[i\left(\int _ {-T} ^ {x _ 2 ^ {0}}+\int _ {x _ 2 ^ {0}} ^ {x _ 1 ^ {0}}+\int _ {x _ 1 ^ 0} ^ {T}\right)\right] \\ &= \braket{\phi _ b|e ^ {-iH(T-x _ 1 ^ {0})}|\phi _ 1} \braket{\phi _ 1|e ^ {-iH(x _ 1 ^ {0}-x _ 2 ^ {0})}|\phi _ 2} \braket{\phi _ 2|e ^ {-iH(x _ 2 ^ {0}+T)}|\phi _ a} \end{aligned}

といった感じになります12.したがって,式(4.2)

\begin{aligned} (4.2) &= \int\mathcal{D}\phi _ 1(\bm{x} _ 1)\int\mathcal{D}\phi _ 2(\bm{x} _ 2) \phi(\bm{x} _ 1)\phi(\bm{x} _ 2) \\ &\times \braket{\phi _ b|e ^ {-iH(T-x _ 1 ^ {0})}|\phi _ 1} \braket{\phi _ 1|e ^ {-iH(x _ 1 ^ {0}-x _ 2 ^ {0})}|\phi _ 2} \braket{\phi _ 2|e ^ {-iH(x _ 2 ^ {0}+T)}|\phi _ a} \\ &=\int\mathcal{D}\phi _ 1(\bm{x} _ 1)\int\mathcal{D}\phi _ 2(\bm{x} _ 2) \\ &\hspace{30pt}\times \braket{\phi _ b|e ^ {-iH(T-x _ 1 ^ {0})}\phi _ S(\bm{x} _ 1)|\phi _ 2} \\ &\hspace{30pt}\times \braket{\phi _ 2|e ^ {-iH(x _ 1 ^ {0}-x _ 2 ^ {0})}\phi _ S(\bm{x} _ 2)|\phi _ 1} \\ &\hspace{30pt}\times \braket{\phi _ 1|e ^ {-iH(x _ 2 ^ {0}+T)}|\phi _ a} \\ &= \braket{\phi _ b|e ^ {-iH(T-x _ 1 ^ {0})}\phi _ S(\bm{x} _ 1)\cdot e ^ {-iH(x _ 1 ^ {0}-x _ 2 ^ {0})}\phi _ S(\bm{x} _ 2)\cdot e ^ {-iH(x _ 2 ^ {0}+T)}|\phi _ a} \\ &= \braket{\phi _ b|e ^ {-iHT}\phi _ H(x _ 2)\phi _ H(x _ 1)e ^ {-iHT}|\phi _ a} \end{aligned}

となります.ここで,添え字のSShrödinger描像で,HはHeisenberg描像となっています.次の関係

\hat{\phi} _ S(\bm{x})\ket{\phi}=\phi(\bm{x})\ket{\phi} \ ,\ \ \int\mathcal{D}\phi\ \ket{\phi}\bra{\phi}=\bm{1}

を用いて計算していることに注意してください.(あえてハットをつけておきます.)

ここで,e ^ {-iHT}\ket{\phi _ a}から\ket{0}を取り出すことを考えましょう.そのためには,完全性を用いればうまくいくことがわかっています.つまり

\begin{aligned} e ^ {-iHT}\ket{\phi _ a} &= \sum _ {n}e ^ {-iHT}\ket{n}\braket{n|\phi _ a} \\ &= e ^ {-iE _ 0 T}\left\{ \braket{0|\phi _ a}\ket{0} + \sum _ {n\neq 0}\braket{n|\phi _ a}e ^ {-i(E _ n-E _ 0) T}\ket{n} \right\} \end{aligned}

です.同様にして

\bra{\phi _ b}e ^ {-iHT} = e ^ {-iE _ 0 T}\left\{ \braket{\phi _ b|0}\bra{0} + \sum _ {n\neq 0}\braket{\phi _ b|n}e ^ {-i(E _ n-E _ 0) T}\bra{n} \right\}

も得られます.ここで,E\equiv E _ n-E _ 0>0として,T\rightarrow T-Ti\varepsilonと少しだけ虚部を加えれば

e ^ {-iET} \rightarrow e ^ {-\varepsilon ET}\cdot e ^ {-iET}

のように位相以外の因子が得られるので,この状態でT\rightarrow\inftyとすれば絶対値が0になります.これは,T\rightarrow\infty(1-i\varepsilon)という操作に対応しているので,結局

\begin{aligned} &\braket{\phi _ b|e ^ {-iHT}\phi _ H(x _ 2)\phi _ H(x _ 1)e ^ {-iHT}|\phi _ a} \\ &\hspace{20pt} \xrightarrow[T\rightarrow\infty(1-i\varepsilon)]{} \\ & e ^ {-iE _ 0\cdot\infty(1-i\varepsilon)}\braket{\phi _ b|0}\braket{0|\phi _ a} \braket{0|\phi _ H(x _ 2)\phi _ H(x _ 1)|0} \end{aligned}

というようになります.e ^ {-iE _ 0\cdot\infty(1-i\varepsilon)}というのは不思議な量ですが13,次に考えるように

\begin{aligned} &\hspace{10pt} \int\mathcal{D}\phi \ \exp\left[ i\int\text{d} ^ 4 x\ \mathcal{L} \right] = \braket{\phi _ b|e ^ {-iHT}|\phi _ a} \\ &= e ^ {-iE _ 0 T}\braket{\phi _ b|0}\braket{0|\phi _ a} + \sum _ {n\neq 0}e ^ {-iE _ n T}\braket{\phi _ b|n}\braket{n|\phi _ a} \\ &\rightarrow e ^ {-iE _ 0\cdot\infty(1-i\varepsilon)}\braket{\phi _ b|0}\braket{0|\phi _ a} \end{aligned}

となることに注意すれば,式(4.1)が成り立つことがわかります.

さて,それではFeynman則を求めてみましょう.いくつか求める方法はありますが,今回はスマートな方法として汎関数(fanctional)を用いてみたいと思います.

汎関数微分\delta/\delta J(x)の数学的な定義は知りませんが,以下の性質が成り立つとします:

\frac{\delta}{\delta J(x)}J(y) = \delta ^ {(4)}(x-y) \ ,\ \ \frac{\delta}{\delta J(x)}\int \text{d} ^ {4}y J(y)\phi(y) = \phi(x) \ .

この性質を用いて,Feynman則を導出していきましょう.そのためには,次の生成汎関数

Z[J] \equiv \int\mathcal{D}\phi\ \exp\left[ i\int\text{d} ^ 4 x \left[\mathcal{L}+J(x)\phi(x)\right] \right]

を定義しておきます.これを用いれば

\begin{aligned} &\hspace{10pt} \left. \frac{\delta}{\delta J(x _ 1)}\frac{\delta}{\delta J(x _ 2)} Z[J] \right| _ {J=0} \\ &= -\int\mathcal{D}\phi\ \phi(x _ 1)\phi(x _ 2)\exp\left[ i\int\text{d} ^ 4 x \left[\mathcal{L}\right] \right] \end{aligned}

となるので,式(4.1)

\braket{0|\phi(x _ 1)\phi(x _ 2)|0} = -\frac{1}{Z[0]}\left. \frac{\delta}{\delta J(x _ 1)}\frac{\delta}{\delta J(x _ 2)} Z[J] \right| _ {J=0} \tag{4.3}

となることがわかります.よって,あとはZ[J]の具体的な表式が別れば,この右辺の値が計算できることになります.

Z[J]を表示するためには,まずラグランジアン\mathcal{L}を定義しなければなりません.スカラー場を考えていますので

\mathcal{L} = \frac{1}{2}\partial _ {\mu}\phi\partial ^ {\mu}\phi-\frac{1}{2}m ^ 2\phi ^ 2

ラグランジアンとして採用します.ここで,

\partial ^ \mu(\phi\partial _ \mu\phi) = \partial _ {\mu}\phi\partial ^ {\mu}\phi+\phi\partial ^ 2\phi

に注意すると,Gaussの定理から表面項は無視できて

\int\text{d} ^ 4 x \left[\mathcal{L}+J\phi\right] = \int\text{d} ^ 4 x \left[-\phi(\partial ^ 2+m ^ 2)\phi+J\phi\right] \tag{4.4}

となります.ここで,次のような空間の平行移動を行います:

\phi'(x)\equiv\phi(x)-i\int\text{d} ^ 4yD _ F(x-y)J(y)\ .

D _ F(x-y)はKlein-Gordon場の伝播関数で,

(\partial ^ 2+m ^ 2)D _ F(x-y) = -i\delta ^ {(4)}(x-y)

を満たしています.すごい仰々しい変換ではありますが,このような置き換えをするとうまいこと計算できるようになります.

先ほどの変換式を,式(4.4)に頑張って代入してみると

\begin{aligned} (4.4) &= \int\text{d} ^ 4x \left[ \frac{1}{2}-\phi'(\partial ^ 2+m ^ 2)\phi' \right] \\ &\hspace{20pt} +i \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y \frac{1}{2}J(x)D _ F(x-y)J(y) \end{aligned}

と書けるため,Z[J]は具体的に

\begin{aligned} Z[J] &= Z[0] \\ & \times \exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \tag{4.5} \end{aligned}

となります.ここまでくれば,式(4.3)の値が計算できるようになり,やってみると

\braket{0|\phi(x _ 1)\phi(x _ 2)|0} = D _ F(x _ 1-x _ 2) \tag{4.6}

と求められることがわかります.あまり具体的にはやりませんが,式(4.5)J(x _ 2)で試しに汎関数微分してみると

\begin{aligned} \frac{\delta}{\delta J(x _ 2)}Z[J] &= Z[0]\frac{\delta}{\delta J(x _ 2)}\exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \\ &=-\frac{1}{2}Z[0]\left\{ \int\text{d} ^ 4y J(x _ 2)D _ F(x _ 2-y) + \int\text{d} ^ 4x D _ F(x-x _ 2)J(x _ 2) \right\} \\ &\ \ \ \times \exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \\ &= -Z[0]\int\text{d} ^ 4x D _ F(x-x _ 2)J(x _ 2) \\ &\ \ \ \times \exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \end{aligned}

となります.これをさらにJ(x _ 1)汎関数微分してJ=0とすると

\begin{aligned} &\hspace{10pt} -Z[0]\frac{\delta}{\delta J(x _ 1)}\int\text{d} ^ 4x D _ F(x-x _ 2)J(x _ 2) \exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \\ &= -Z[0]\left\{ D _ F(x _ 1-x _ 2)-\int\text{d} ^ 4x D _ F(x-x _ 1)J(x _ 1) \right\} \exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \\ &\xrightarrow[J=0]{} -Z[0]D _ F(x _ 1-x _ 2) \end{aligned}

となって,あとは公式(4.3)に代入すれば,(4.6)の結果がわかります.

(4.6)は2点相関関数(two-point correlation function)といわれ,最も基本的な確率振幅となっています.参考までに4点相関関数を計算しておくと

\begin{aligned} &\braket{0|\phi(x _ 1)\phi(x _ 2)\phi(x _ 3)\phi(x _ 4)|0} \\ &= \frac{\delta}{\delta J(x _ 1)}\frac{\delta}{\delta J(x _ 2)}\frac{\delta}{\delta J(x _ 3)}\frac{\delta}{\delta J(x _ 4)} \\ &\hspace{20pt} \left( \exp\left[ -\frac{1}{2} \int\text{d} ^ 4x\text{d} ^ 4y J(x)D _ F(x-y)J(y)\right] \right) \\ &= D _ F(x _ 1-x _ 2)D _ F(x _ 3-x _ 4) \\ &\hspace{5pt} + D _ F(x _ 1-x _ 3)D _ F(x _ 2-x _ 4) + D _ F(x _ 1-x _ 4)D _ F(x _ 2-x _ 3) \end{aligned}

となります.

以上で, (相互作用のない場ではありますが) Feynman則が求められました.少しごつごつした式が目立ちますが,やってることはほぼ普段の微分でした.

5. Shrödinger方程式の導出

この章では,Feynmanの論文[2]を参考にして,非相対論的な量子力学における経路積分量子化からShrödinger方程式が再現されることを確認してみます.なお,原論文を参考にする都合上,現在主流のDiracの記法を用いたスタイリッシュな形式とは異なります14.もし現代的な導出方法が気になった方は,例えば,Peskin, Schroeder[1]やSakurai[5]を参考にするとよいでしょう.また,ここでは空間は1次元で議論を進めていきたいと思います.

量子論と古典論の根本的な違いとして,「粒子が動く道筋を決定できない」というものあると紹介しました.ここではこの考え方を少し押し出した形で考えていくことにしましょう.古典論での粒子の動く道筋とは,ラグランジアンLの時間積分である作用Sを最小にするような経路x(t)を動くことを思い出しましょう.つまり

S=\int _ {t _ i} ^ {t _ f}L(x(t),\dot{x}(t))\text{d}x\ ,\ \ \ \delta S=0

となるような関数x(t)のことです.量子論に移行するためには,この作用Sから始めることになりますが,それはその値が最小となるような経路とは限らない,ということになります.

基本的なアイデアは遷移振幅の場合と同じで,時間を幅\varepsilonで分割していくところから考察をはじめていきます.ここで,「時刻t _ i\leq t\leq t _ {i+1}を移動している粒子は古典的である」と仮定しましょう15.とすると,時刻t _ iにおける位置をx _ iと書くことにすれば,時刻t _ iの位置x _ iから,時刻t _ {i+1}の位置x _ {i+1}に粒子が伝播するときの作用は

S(x _ {i+1},x _ {i}) = \text{min}\int _ {t _ i} ^ {t _ {i+1}}L(x(t),\dot{x}(t))\text{d}x

で与えればよいことがわかります.このことから,全体の区間の作用も

S=\sum _ {i}S(x _ {i+1},x _ {i})

で求められることがわかります.

ここで,Feynmanは次の仮定をおきます:

確率振幅に対する経路x(t)の寄与は

\exp\left[\frac{i}{\hbar}S[x(t)]\right]
という位相のズレとして与えられる.

この仮定についての説明はここでは省略させていただきます16.これを考慮すると,ある領域17Rに粒子が見つかる振幅は

\varphi(R) = \lim _ {\varepsilon\rightarrow 0} \int _ {R}\prod _ {i}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right]

と位相のズレの積分で書けることがわかります.ここででてきた定数Aは後で決定します.

次は,上の振幅を用いて波動関数を定義したいと思います.2つの領域R',R''を時刻t=t _ kで分割することを考えましょう.つまり,x _ k=x(t _ k)だったことを思い出すと

\underbrace{\cdots x _ {k-2},\ x _ {k-1}} _ {R'} ,\ x _ k ,\ \underbrace{x _ {k+1},\ x _ {k+2},\ \cdots} _ {R''}

というような感じです.この分割を用いれば,上の振幅\varphi(R)

\begin{aligned} \varphi(R',R'') &=\lim _ {\varepsilon\rightarrow 0} \int\text{d}x _ {k} \int _ {R'}\prod _ {i=-\infty} ^ {k-1}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right] \\ &\hspace{10pt}\times \int _ {R'}\prod _ {i=k+1} ^ {\infty}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right] \\ &\equiv \int\chi ^ {*}(x _ k,t)\psi(x _ k,t)\text{d}x _ {k} \tag{5.1} \end{aligned}

のように書けることになります.ここでいう\chi(x,t)\psi(x,t)が,経路積分による定式化における波動関数となります.例えば\psi(x,t)のほうの具体的な表式は

\psi(x _ k,t) = \int\prod _ {i=-\infty} ^ {k-1}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right]

です.少し話がそれますが,この定義(5.1)は,Diracの定式化とShrödingerの定式化を結んだ関係式

\braket{\chi|\psi} = \int\chi ^ {*}(x)\psi(x)\text{d}x

と類似していることに気がつくかと思います.

これで波動関数の定義も完了しました.あとはShrödinger方程式の導出にかかるだけです.Shrödinger方程式には波動関数の時間の1微分が入ってくるので,次の量

\psi(x _ {k+1},t+\varepsilon) = \int\prod _ {i=-\infty} ^ {k}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right]

を考えるところからスタートしたいと思います.ここの右辺の被積分関数ですが

\begin{aligned} \prod _ {i=-\infty} ^ {k}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp&\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right] \\ = \frac{\text{d}x _ {k}}{A}& \exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {k+1,x _ k})\right] \times\prod _ {i=-\infty} ^ {k-1}\frac{\text{d}x _ i}{A}\exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {i+1,x _ i})\right] \end{aligned}

i=kだけを分離して考えれば,i=-\infty,\cdots,x _ {k-1}の部分は波動関数に戻るので,変数に注意して

\begin{aligned} &\psi(x _ {k+1},t+\varepsilon) \\ &= \int \frac{\text{d}x _ {k}}{A} \exp\left[\frac{i}{\hbar}S(x _ {k+1,x _ k})\right] \psi(x _ {k},t) \end{aligned} \tag{5.2}

の関係が出てきます.次はS(x _ {k+1,x _ k})を計算することを考えましょう.ここでは,\varepsilonが微小量であることを考慮して,

S(x _ {i+1},x _ i) \approx \varepsilon L\left(\frac{x _ {i+1}-x _ i}{\varepsilon},x _ {i+1}\right)

と近似してしまいます18ラグランジアンL=m\dot{q} ^ 2/2-V(q)だったので,結局

S(x _ {i+1},x _ i) \approx \frac{m\varepsilon}{2}\left(\frac{x _ {i+1}-x _ i}{\varepsilon}\right) ^ 2-\varepsilon V(x _ {i+1})

で計算すればよいことがわかります.式(5.2)にこれを代入して整理して,x\equiv x _ {k+1},\ \xi\equiv x _ {k+1}-x _ {k}とすると

\begin{aligned} \psi(x,t+\varepsilon) &= \exp\frac{-i\varepsilon V(x)}{\hbar} \\ &\times\int\exp \frac{im\xi ^ 2}{2\varepsilon\hbar}\cdot\psi(x-\xi,t)\frac{\text{d}\xi}{A} \end{aligned} \tag{5.3}

となります.\xi積分を実行できそうな気がしますが,\psi(x-\xi,t)の変数部分に\xiがいるため,まだ積分を実行することができません.こういうときに便利なのはTaylor展開です.つまり

\psi(x-\xi,t) = \psi(x,t) - \xi\frac{\partial\psi(x,t)}{\partial x} + \frac{\xi ^ 2}{2}\frac{\partial ^ 2\psi(x,t)}{\partial x ^ 2} + \mathcal{O}(\xi ^ 3)

とすることで,式(5.3)積分が実行できるようになります.式(5.3)の左辺についてもTaylor展開をして\varepsilon1次の項までを考慮すれば,結局,式(5.3)

\begin{aligned} \psi(x,t)+&\varepsilon\frac{\partial\psi(x,t)}{\partial t} \\ &=\exp\left(-\frac{i\varepsilon V(x)}{\hbar}\right)\frac{\sqrt{2\pi\hbar\varepsilon i/m}}{A} \\ &\hspace{10pt} \times \left[\psi(x,t)+\frac{\hbar\varepsilon i}{2m}\frac{\partial ^ 2\psi(x,t)}{\partial x ^ 2}\right] \tag{5.4} \end{aligned}

となります19.両辺を比較してみると,左辺に\varepsilon0次の項があることがわかるので,その整合性のために定数A

A=\sqrt{\frac{2\pi\hbar\varepsilon i}{m}}

とおけばよいことがわかります.さて,式(5.4)において\expの因子を展開して,\varepsilon1次の項を比較し,両辺にi\hbarかければ

i\hbar\frac{\partial\psi}{\partial t} = -\frac{\hbar ^ 2}{2m}\frac{\partial ^ 2\psi}{\partial x ^ 2} + V(x)\psi

と,晴れてShrödinger方程式を得ることができました.このことから,経路積分による定式化から,波動力学の体系が再現されることがわかります.

6. おわりに

ここまでかなりハードな内容だったので,最後はゆるく,(私の)好きな音楽の話をして終わりにします.私はよく友達と音楽の話をよくするのですが,ワセマの人とはあまりその話をしてないので,この場を借りていっぱいレビューしちゃおうかなと思います.多すぎてもよくないので (それにしても多い?) ,1アーティストにつき1曲にするつもりです.思いついたものから書いていってるので,順番に特に意味はありません.

  1. B'z "夢見が丘"

    順番は関係ないといいましたが,最初は一番好きなアーティストをもってきました.最後のハモリとアウトロのギターが最高です.ファンの人がいたら,ぜひ話したいです!

  2. Mr.Children "虜"

    アルバム「深海」からです.「ゆりかごのある丘から」から「虜」,「花」,そして「深海」の流れが好きです.「シーラカンス」もいいですし,名曲ぞろいですね. ミスチルだったら「#2601」とかも好きです.

  3. Led Zeppelin "Stairway to Heaven"

    言わずと知れた名曲です.最近,LPでこれを聴くことができたのですが,本当に感動しました.正直,聴いたことがない人は,一度でいいので聴くべきだと思っています.ZEPなら,ほかには「Kashmir」,「When the Levee Breaks」とかいいです.

  4. 欅坂46 "月曜日の朝、スカートを切られた"

    歌詞もそうですが,曲全体に漂う無力感みたいな感じが好きです.欅坂なら「二人セゾン」も好きでした.

  5. Zimerman "Rachmaninoff Piano Concerto No. 2"

    音源がavailableなもののなかでは,Zimermanのが好きです.(どうでもいいですが,物理に出てくるLSZのZimmermannとはちょっとだけ名前が違います.) 辻井さんのRachmaninoffも勧められたのですが,そっちのほうはより柔らかい感じがして全くの別物という印象です.あっちもよかったです.

  6. いきものがかり "青春ライン"

    みんなの歌かなんかでこのアーティストを知りました.なんでこの曲を聴くようになったかはわかりませんが,かなり印象に残っている曲です.(調べたらアニメの主題歌だったらしいんですが,心当たりがないんですよね…)

  7. Deep Purple "Lazy"

    「Smoke on the Water」を聴くためにこのアルバムを聴いたのですが,逆にこの曲にハマってしまいました.Ritchie Blackmoreのソロが最高です.

  8. Miles Davis "So What"

    有名なアルバム「Kind of Blue」の1曲目からです.「ジャズを聴いてみたい!」と友達に相談したところ,まずはこれを聴けといった感じで紹介され聴くようになりました.個人経営の喫茶店とかだと意外とこのアルバムの曲が流れてたりします.

  9. 尾崎豊 "十七歳の地図"

    尾崎豊の1stアルバムの表題曲です.「15の夜」もそうですが,尾崎のロックはシンプルで好きです.ロックじゃないなら,「ダンスホール」とか印象的でした.

  10. SEKAI NO OWARI "青い太陽"

    こればかり聴いている友達(っていうのは言い過ぎですが)がいた気がします.歌詞の意味は英語も日本語もさっぱりわかりませんが,聴いて楽しいです.たぶん,言葉選びが良いのでしょう.

  11. Derek and the Dominos "Layla"

    Eric Claptonの代表曲の1つです.この時代のClaptonの曲はなかなかキレッキレで,聴いてて本当にワクワクします.たぶん,私自身がブルースベースの曲が好みなのもあるのかもしれません.

  12. 石川さゆり "津軽海峡・冬景色"

    想像力がないので,歌詞の状況が全然わからないのですが,日本語と歌がマッチしていて好きです.今は新幹線が北海道までつながってしまっていますが,そうでなかった頃の雰囲気が伝わってきて気に入っています.

  13. 布袋寅泰 "STILL ALIVE"

    BOOWYのギタリストの曲です.この曲はインパクトがあってとても好きなのですが,どうやら北斗の拳のパチンコ台でも流れるらしく,Youtubeのコメント欄がそれ関連で仕上がっているのもなんか好きです(笑)

  14. LiSA "明け星"

    紅白で初めて見ましたが,イントロが好きで聴くようになりました.LiSAは女性アーティストのなかでも声がはきはきしているので,たまに聴きたくなります.

  15. Aerosmith "Train Kept a Rollin'"

    もともとはYardbirdsの曲でしたが,ボーカルのSteven Tylerがそのバンドのことが好きでカバーした曲らしいです.エアロらしくハード寄りにカバーされてて楽しいです.Jeff Beckの記念ライブみたいなやつでSteven Tylerと一緒にこれをやっている音源もあって,そっちのほうもめちゃくちゃ大好きです.

  16. Jeff Beck, Johnny Depp "Isolation"

    Jeff BeckJohnny DeppによるJohn Lennonの曲のカバーです.異色のコラボですが,意外とJohnny Deppが曲の雰囲気にあっていて,Beckのアレンジも相まって素晴らしいカバーになっていると思います.

  17. Martha Argerich "Polonaise No. 6"

    友達とChopinを聴きに行くときに予習で聴いたアルバムの一つですが,見事にはまってしまいました.聴きたい曲がある場合,まずはArgerichの音源を探してしまいます.やっぱり彼女の演奏は迫力があって好きです.(どうやら生粋の気分屋のようで,調子がひどいときは本当にひどいらしいですが,リアルタイムの人間じゃないのでうまくいった音源しか聴くことはないでしょう.)

  18. Leo/need "ウミユリ海底譚"

    私が初めて音ゲーにトライしたときの曲でした.確かプロセカという名前だったと思います.かなりボコボコにされたので(友達のスマホでやりました),家でよく聴いてからリベンジしようと思ってたら気に入っちゃいました.もともとボカロの曲らしいですが,人間が歌っているバージョンのほうがやっぱり慣れてます.「ロキ」とか「アスノヨゾラ哨戒班」とかも同じアルバムに入っててよく聴くようになりました.(そろそろリベンジできるかも?(追記) ダメでした.)

  19. Nirvana "Smells Like Tenn Spirit"

    この人は本当にアーテイストなんだなと感じさせられます.「Nevermind」は本当に有名な古典なので,ぜひアルバムで聴いてもらいたいです.

  20. 福山雅治 "追憶の雨の中"

    デビュー曲です.福山はなぜかカッコイイので好きです.次のシングルの「逃げられない」とかも,ノリノリのロックンロールでした.

以上です.これを1つの章にしてもよかったのですが,あまり気が向かなかったのでここに書いてしまいました.ジャンルをばらけさせたので,何かしら知ってるアーティストはヒットしたんじゃないかなと思います20

長々と失礼しました.これで,今回の記事は終わります.目を通してくださり,本当にありがとうございました.

7. 参考文献

[1]: M. E. Peskin, and D. V. Schroeder, An Introduction to Quantum Field Theory, CRC Press, 1995.

場の量子論の教科書の中では最も有名な本ではないでしょうか.相対論的量子力学の導入がなされ,経路積分の紹介が始まるかと思いきや,いきなり散乱の話題になり,Feynmanダイアグラムをやることになります.現時点で私がしっかり計算を追えているのはそのあたりまでですが,ちゃんとしたformalismを学習せずにやるので「この詳しい証明は第**章でやることになる」っといった一文がすでにあちこちにあります.「適材適所」というようなことが裏表紙のHarveyのReviewにはありましたが,その負の一面かもしれません.ちゃんと一冊通読しきれれば問題はないはずですが,経路積分繰り込みぐらいは先に勉強してから読んだほうがモヤモヤは少なくて済んだのかなと思います.(ここらへんについては,1年後はまったく別のこと言ってそうです.)

[2]: R. P. Feynman, Rev. Mod. Phys. 20, 367 - 387 (1948).

WINEからオンラインで入手することができます.最初は古典論と量子論の確率の取り扱いの違いからスタートして,確率振幅の経路積分表示の説明が始まり,それを基盤とした量子力学の様々なformalismに対して言及しています.例えばShrödinger方程式の話題以外にも,正準交換関係や調和振動子の話があります (まだまだあります).気になった方は各自で確認していただきたいのですが,「Hamilton-Jacobi方程式から始めれば,ここでやった方法よりもさらにエレガントにShrödinger方程式を導出できる」というようなことが10章の最後に書いてありました.おそらく該当する箇所はありません.この一文はなんだったのでしょうか(笑)

[3]: 坂井 典佑,『場の量子論』,裳華房,2009.

場の量子論を概観してみたいと思い,なるべく薄い日本語の本を図書館で探していたところ,この本を見つけました.評判は知りませんが,ゲージ場の内容を中心としてよくまとまっていると思いました.今後もお世話になると思います.ただし,一番最初に読む本ではないです.買う本というよりも,借りて読む本という認識です.ある程度学んでから読んでみると知識が整理されると思います.

[4]: ランダウ = リフシッツ,広重 徹, 水戸 巌 訳,『力学 (ランダウ = リフシッツ 理論物理学教程) 』(増刊第3版),東京図書,2020.

[5]: J. J. Sakurai, Modern Quantum Mechanics, The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc, 1985.

[6]: Feynman, Leighton, Sands, The Feynman Lecture on Physics III, Basic Books, New York, 2011.


  1. たぶん,経路積分(というよりも場の量子論)の話で出てくる式がなかなかゴツいせいもあるかもしれません.もともとの計算がハードなので,ある程度省略しても,やはりそれなりの分量にはなってしまうのだと思います.
  2. なんだかんだ言って,自分の興味ある分野のReviewを見るのは楽しいですよね(笑)
  3. 今の素粒子理論はhigh-energyなため,そこらへんを気にしてもしょうがないのはわかりますが,実験や観測などの研究は困らないのかとは思ったりもします.
  4. あまり詳しくはないのですが,「Hamiltonの原理」も似たような感じだったと思います.有名な力学の教科書[4]では,同じ取り扱いを受けてしまっていますが,それが原因で「最小作用の原理=Hamiltonの原理」という認識が蔓延してしまった,というのを誰かが言っていた記憶があります.
  5. Stern–Gerlachの実験を題材にしていましたが,変にスピンの話にこだわらず,現象論的に何が起こるのかを説明していて,私はあの説明で腑に落ちました.
  6. 一応,Schrödinger方程式からLorentz不変な方程式に移行することはできたはずです.うろ覚えですが.
  7. この作用がLorentz不変であることをちゃんと示すとなると,少し知識が必要です.ラグランジアン密度がそもそも不変であることと,Jacobianが1であることを示す必要があります.
  8. 話の流れが悪くなるのでここでは言及しませんでしたが,f(q)の場合とは異なり,p _ kについての完全性を用いることで計算することになります.
  9. 2変数になると,この等式が一般には成り立つとは限りません.気になった方は「Weyl順序」を調べるとよいでしょう.
  10. スカラー場の量子化は,経路積分を用いなくても可能です.経路積分の恩恵はむしろゲージ場の量子化にあるといえるはずですが,非可換ゲージ理論にあらわれる概念の準備もしなくてはならず,流石にしんどいのでここではスカラー場で妥協させてください(笑)
  11. T積を用いて定義したほうがいろいろ役立つのですが,この記事ではその恩恵は特にないのでこのように定義しました.また,\ket{0}基底状態を意味するのですが,実は,調和振動子の基底とは異なり,\ket{\Omega}と書くことで区別するのが普通です.
  12. x _ 1 ^ 0x _ 2 ^ 0はここでの積分では固定されているので,そこで区間を分割しなくてはならないことに注意してください.
  13. 2\cdot\infty=\inftyとなっています.
  14. 例えば,汎関数法などの便利な定式化もここでは十分にはなされていないため,やはり離散的な状況の極限として考えることになります(汎関数法の気持ちも同じようなものだと思いますが).
  15. 無限小の時間幅でなら古典論で近似していい,というのはかなり強引ですが,これでうまくいくのでひとまず認めます.
  16. 全部は読めていないのですが,軽く目を通した感じでは物理的意味の説明はありませんでした.[1]では,古典論的な状況での類推から,位相のズレと作用Sが同じ性質をもっているとして説明を与えていました.興味のある方はそちらを参照していただければと思います.とにかく,このような仮定から非相対論的量子力学の体系が構成できることが重要なのだと思っています.
  17. 本文では“region”でした.こういった言い回しは私が目を通した教科書では出てこなかったので,やはり原論文なのだなと思います.
  18. 本文では,直交座標系ならこの近似は可能だと書いてあります.微小区間では古典的な場合を仮定しているため,そこでの経路はさらに近似を加えてほぼ直線とみなせるので,ここでの近似はある程度は正当化されます.
  19. ここでのステップには,(かなりごちゃごちゃした)積分の計算と近似の正当化がありましたが,かなり煩雑なので省略しました.
  20. 自分が挙げたものを眺めると,ジャンルは確かにばらけていますが有名どころしか聴いてないですね.いろいろなところからアーティストを発掘してくる人は本当にすごいと思います.

相対性理論とは

はじめまして。物理学科3年のミヤネといいます。 6/26(日)のアドカレを担当します。

最近、相対性理論の勉強をしているので、復習もかねて相対論の話を書こうかと思います。できるだけ根本的な概念を丁寧にやってみて、残りの余力で一般相対性理論の話題や、少し数学との関連について触れてみました。ただ、勉強し始めて日が浅いこともあり、やけに詳しく書かれていたり、逆に誤魔化したりと文章にムラができてしまいました。相対論の雰囲気を知る感じで、軽く読んで欲しいです。

また、読んでみればわかると思うのですが、注釈がかなり多くなってしまいました。当初は、文章を堅苦しい感じにしたくなくて、ぶっちゃけた話を注釈にまとめるようにしていったのですが、かえってウンチクっぽい、うざったい文章になってしまったかもしれません…。 見づらいかな、と思い各節の最後にまとめて置いています。箸休め的なノリで、好きなタイミングで読んでみてください。

相対性理論とは

歴史的な話は調べれば出てくるのでよいでしょう ^ {1}

相対性理論の話になるとよく挙がるのが、「浦島太郎効果」や「双子のパラドックス」だと思います。そうです、観測者によって時間のたち方が違うっていうアレです。これらの話はまぎれもない事実で、実際に微妙な時間のズレを検出できているそうです ^ {[4]}

これらの驚くべき結果 ^ {2}は、これから定義する世界間隔が、慣性系によって不変であるという仮定をおくだけで正確に記述することができます。

世界間隔と固有時間

いきなりですが、座標軸がct,x,y,zからなる(仮想的な)4次元空間を考えましょう ^ {3}。この4次元空間での隣接した2(ct,x,y,z),(ct+cdt,x+dx,y+dy,z+dz)の距離(の2乗)を考えます。普通に考えると

c ^ 2dt ^ 2+dx ^ 2+dy ^ 2+dz ^ 2

としたいところではありますが、あえて別の定義をします ^ {4}:

ds ^ 2=c ^ 2dt ^ 2-dx ^ 2-dy ^ 2-dz ^ 2. \tag{1}

このds世界間隔といいます ^ {5,6}。これは「原点にいる観測者からみたとき」の量であることに注意しましょう。

このds ^ 2が、あらゆる慣性系において不変だとしましょう。そして、原点にいる私たちが、速度\bm{v}で移動している点を観測しているとしましょう。すると、ds ^ 2が不変であることから次の等式が成立します:

c ^ 2dt ^ 2-dx ^ 2-dy ^ 2-dz ^ 2=c ^ 2d\tau ^ 2. \tag{2}

左辺は「原点から見たときの点の世界間隔」を表しており、右辺は「点が自分自身を見たときの世界間隔」となっています。この\tauはもちろん時間を表しているのですが、観測されている点の上での時間であることを注意しておきます。

この等式(2)を、次のように変形します。いま、点の速度が\bm{v}=\dfrac{d\bm{x}}{dt}であることに注意すれば、

d\tau = dt\sqrt{1-\dfrac{v ^ 2}{c ^ 2}}

となります。この等式から、d\tau< dtであることがわかります。これが浦島太郎効果です。

このd\tauは、移動している座標系での時間のたち方の物差しとなるため、固有時間といわれています。

計量テンソル

今後の話に関係してくるので、計量テンソル ^ {7}という量を紹介します。

そのまえに、かなり突然になってしまいますが、次のように反変成分というものを考えます:

x ^ 0=ct,\ x ^ 1=x,\ x ^ 2=y,\ x ^ 3=z. \tag{3}

このように書き換えると、(1)が次のように少し簡単になります:

ds ^ 2=(dx ^ 0) ^ 2-(dx ^ 1) ^ 2-(dx ^ 2) ^ 2-(dx ^ 3) ^ 2 \tag{1'}

少しだけ簡単になりました。なぜこんな表記をしたかというと、右辺をシグマ\sumを使って表そうとしているのです。

しかし、このままでは、マイナスが入ってしまっているため、まだ表すことができません。

そこで、次のようなテンソルを用意しましょう:

g _ {\mu\nu} = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 & 0 \cr 0 & -1 & 0 & 0 \cr 0 & 0 & -1 & 0 \cr 0 & 0 & 0 & -1 \end{pmatrix} \tag{4}

こうすると ^ {8}(1’)はさらに

ds ^ 2 = \sum _ {\mu,\nu}g _ {\mu\nu}dx ^ \mu dx ^ \nu \tag{1''}

と書けることがわかります。短くなりすぎて胡散臭く思いますが、ちゃんと(3),(4)の定義を用いれば(1)に戻ります。

ここで、縮約といわれる規則を使いましょう。これは単純な話で「添え字がダブったら、\sumがなくてもそれについて和をとる」といった感じです。例えば、

A ^ iB _ i=A ^ 0B _ 0+A ^ 1B _ 1+A ^ 2B _ 2+A ^ 3B _ 3

というようになります。

この規則を用いれば、(1’’)

ds ^ 2=g _ {\mu\nu}dx ^ \mu dx ^ \nu \tag{5}

となります。この係数g _ {\mu\nu}計量テンソルといわれるものになります。

さきほど、下付きの添え字がサラリと出てきましたが、これも定義が存在します。添え字が下にある成分を共変成分といい、計量テンソルg _ {\mu\nu}と反変成分A ^ \nuをもちいて

A _ \mu=g _ {\mu\nu}A ^ \nu

と定義されます。「計量テンソルをかけると添え字が移動する」くらいの認識でいいと思います ^ {9}

注釈

  1. 省略してしまいましたが、当時の議論などをちゃんと読んでみると意外と面白かったりします。たとえば、文献[2]では、Einstein自身が1918年に投稿した論文が引用されています。対話形式で相対性理論が解説されており、とても面白いです。
  2. どうでもいいことですが、この言い回しはよく和訳の本に出てくる気がします。気のせいかもしれません。
  3. Minkowski空間というらしいです。ただの4次元空間としか認識していなかったので、Wikipediaで調べたときは思わず笑ってしまいました。数学、素晴らしい。
  4. なぜ(1)のような定義をするのか気になった方は、相対論の本を手に取ってみてください。大体の本には書いてあるはずです。[1]にはありました。
  5. 符号を逆にして定義することもあります。つまりds ^ 2=-c ^ 2dt ^ 2+dx ^ 2+dy ^ 2+dz ^ 2です。「dtの項にマイナスをつける定義のほうが多い」ということをどこかで聞いたことがあります。私が読んだことのある限りでは半々です。
  6. このdtやらdxやらは、全微分などで初めて見ることと思います。初めて見たときはかなりギョッとするかと思いますが、dx\rightarrow\varDelta xだと思ってしまえばよいかと思います。
  7. 物理をやる人は、「テンソルはただの行列だ」くらいの認識でよいと思います。例えばA ^ {ik}Aという行列の(i,k)成分ですし、T _ {\mu\nu\lambda}Tという行列(!!?)(\mu,\nu,\lambda)といったかんじです。ただし、A ^ {ik}を成分ではなく、そのまま行列ととらえることが多いように思います(例えば、(4)もそうですね)。慣習上の問題なので、雰囲気に慣れていきたいところです。
  8. このように2階のテンソルなら行列で書けます。1階ならベクトルです。「じゃあそう呼べばいいじゃん」と思いますが。とにかく、計算するときのイメージはこんな感じでよいはずです!
  9. 共変テンソルや反変テンソルにもちゃんと定義が存在します。座標変換に対してどのように変化するかによってテンソルスカラーかが決まります。

「特殊」と「一般」、何が違うのか

計量テンソルの冒頭で「今後の話に関係してくるので」といいましたが、ここに関係してきます。

簡単に言うと、計量テンソル(4)のようにきれいな形をしている場合を考えるのが特殊相対性理論です。逆に、もっと一般に、計量テンソル(4)以外の場合、つまり

g _ {\mu\nu} = \begin{pmatrix} g _ {00} & g _ {01} & g _ {02} & g _ {03} \cr g _ {10} & g _ {11} & g _ {12} & g _ {13} \cr g _ {20} & g _ {21} & g _ {22} & g _ {23} \cr g _ {30} & g _ {31} & g _ {23} & g _ {33} \end{pmatrix}

の場合 ^ {1}を考えるのが、一般相対性理論です。そういう意味では、一般相対性理論特殊相対性理論を含んでいます ^ {2}

一般相対性理論においては、計量テンソルの対角成分以外は重力場によって生じたと考えます。よく「重力が空間を曲げる」という表現を見ますが、これは次節に述べる第一基本形式を踏まえればよく分かると思います。

重力場の基本方程式はEinstein方程式です ^ {3}。前節を詳しくしすぎたので導出はしませんが、載せておきます ^ {4}

R _ {ik}-\dfrac{1}{2}g _ {ik}R=\dfrac{8\pi k}{c ^ 4}T _ {ik}. \tag{6}

R _ {ik}Ricciテンソルといい、Rはその縮約R:=R _ i ^ iです。Ricciテンソルは、空間の曲がり度合いに関係する量です。T _ {ik}エネルギー・運動量テンソルで、その名の通りエネルギーや運動量に関連する物理量です。この方程式の導出は作用積分に基づくのですが、どうやらあのHilbertもこの方程式を得ていたそうです ^ {[2]}

注釈

  1. もちろん、計量テンソルは何でもよいわけではなくて、ある程度の制限は存在します。たとえば、行列式g:=|g _ {ik}|の符号は負でなければいけません。
  2. だからといって、特殊相対性理論がいらなくなるわけではありません。ケースバイケースです。
  3. 話がそれますが、学科の友人は「Einstein方程式を勉強するときにはじめてEinsteinを書いた」といってました。
  4. [1]から引っ張ってきたので、cgs単位系の形となっています。この本は一貫してcgs単位系を採用しており、最初は混乱しました。

すこし、幾何学との関連を

Einsteinは突如として相対性理論を思いついたそうですが、なかなかその発想を定式化することができなかったといいます。そのことを大学の友人である数学者Grossmanに相談したところ、Riemann幾何学の発展を知り、協力して一般相対性理論の研究にとりかかったそうです ^ {1}。この通り、幾何学と重力理論の結びつきはとても強く ^ {2}、数学を用いた定式化が重要となってきます。

たとえば、少しでも曲面論をかじったことのある方は、(5)の形をみてピンときたかと思います ^ {3}。この形は、4次元部分多様体上での第一基本形式となっています。

この定式化を得るためには、n次元ユークリッド空間\mathbb{R} ^ nm次元多様体Mを定義し、自然な座標系\bm{y}=(y ^ 1,\cdots,y ^ n)\in\mathbb{R} ^ nを導入したときの1微分形式を考えるとよいです。

局所座標系(x ^ 1,\cdots,x ^ m)\in Mを使えば、M

y ^ 1=y ^ 1(x ^ 1,\cdots,x ^ m),\ \cdots,\ y ^ n=(x ^ 1,\cdots,x ^ m)

の引き戻しによって、局所的に記述できます。

このようにして定義した座標系を用いて、接ベクトル束TM:=\bigcup T _ xM内積gを導入したいです。しかしながら、\mathbb{R} ^ n上の自然な内積をそのままTMにいれても、それは内積になるでしょう ^ {4}TMの基底は\frac{\partial}{\partial x ^ 1},\cdots,\frac{\partial}{\partial x ^ m}なので ^ {5}、それらの内積

g _ {ij}:=g\left( \frac{\partial}{\partial x ^ i},\ \frac{\partial}{\partial x ^ j}\right)

と定義しておきます。

ここで、任意の接ベクトル場X=\sum\xi ^ i\dfrac{\partial}{\partial x ^ i},\ Y=\sum\eta ^ j\dfrac{\partial}{\partial x ^ j}に対して、その内積をとってみる。すると、内積の性質を用いれば

g(X,Y) = g\left(\sum\xi ^ i\frac{\partial}{\partial x ^ i},\ \sum\eta ^ j\frac{\partial}{\partial x ^ j}\right) =\sum g _ {ij}\xi ^ i\eta ^ j

となります。どうやらこれを

g=\sum g _ {ij}dx ^ idx ^ j

と書く習慣があるそうです。これが第一基本形式と言われるものになります。

第一基本形式があれば、もちろん曲面論における第二基本形式も定義できます。このようにして、m次元多様体に曲面の話を適用していけば、曲率を定義することができ、それがEinstein方程式へとつながっていきます。

注釈

  1. このことを記念して、3年に1回のペースで"Marcel Grossmann Meeting"という会議が開かれているそうです^{[5]}(なんと第6回は京都らしいです!)。
  2. もちろん幾何だけでなく、ほかの数学の分野とも結びつきはあります。例えば、Lorentz変換が群をなすことを生かして、そのLie代数を考え、Lorentz群の表現のすることができるそうです。
  3. このような煽る言い回し(ほかには「察しの良い読者は既に…」など)は、しばしば専門書に出てくることと思います。最初のころは、この文面を真に受けてショックを受けたりしていましたが、こういった言い方は読む上での一種のメルクマールのようなものだと思うようにしています。出会ったら一度これまでの内容を思い出してみて、ピンときたらそれはそれでよしで、思いつかなくても気合を入れ直して進めばよいでしょう。
  4. こういうのをみると、いつも読み流してしまいます。ごめんなさい。ちゃんと時間をとって読んでいきたいです…
  5. 最初に多様体の本を読んだとき「お、演算子か?」と思いましたが、遠からずも近からずです。

おわりに

以上で、本稿の内容は終わります。

今回は相対論の導入部分に役立ちそうな文章を目指して書きました。

相対性理論古典物理学の花形にあたるもので、誰しもが一度は理解したいと思ったことがあるでしょう。「古典」というからには、相対性理論といえど、やはり現代物理の理論とは相いれない部分があります。(あるはずです!)

しかしながら、実験により相対性理論の正しさほとんど示されているようなもので、今後理論を作っていく場合は、相対性理論を内包するように作る必要があります。たぶん。したがって、相対性理論の理解は、基礎理論をやりたい人には必須といえるでしょう。

いろいろと偉そうに書いてしまいました。堂々とこのようなことを言えるように、今後も勉強を頑張っていきたいと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

参考文献

  1. ランダウ=リフシッツ、『場の古典論』、東京図書。
  2. 米谷民明、『相対性理論講義』、サイエンス社
  3. 小林昭七、『接続の微分幾何ゲージ理論』、裳華房
  4. JST、『光格子時計が時計の概念を変える』 (url : https://www.jst.go.jp/seika/bt57-58.html)
  5. "Sixteenth Marcel Grossmann Meeting - MG16"(url : http://www.icra.it/mg/mg16/).

アドカレ反省会!【Wathematica Advent Calendar 2021】

Wathematica Advent Calendar 25日目の記事です。

 

 

こんにちは!今回当企画を計画・運営してきたWathematica新歓部です。
早いもので、12月ももう25日目。そう、今日がアドカレ企画最終日なのです!早すぎないですか??
ということで、今回は寄稿者の方々にアドカレを振り返ってもらい、コメントをいただいてきました。

寄稿者の方々には、

・感想、反省
・来年の抱負
・欲しいクリスマスプレゼント
・渾身の一句

を答えていただいたので、そちらを紹介していきたいと思います!

(以下寄稿者の敬称略)

 

Hassy (12/3)

・感想、反省
 思いつきでテーマを設定した結果、前提知識ありまくり+トゥー多様体を参照しながらでないと読めないという助からないpdfを生成してしまった。記事を書く前にある程度の見通しを立てることの重要性を痛感しました。

・来年の抱負
 Bott-Tuを読みたい!

・欲しいクリスマスプレゼント
 Bott-Tu(原著)

・渾身の一句
 積束は
  大域的な
   枠を持つ

・編集者コメント
 自分は数弱なので多様体の前提知識がありませんでしたが、最初にアンフォーマルな概略が示されていて、どのようなことをやりたいかという方向性は少しわかった気がします!
 Bott-Tu、↓の首藤さんも言及しているので、ゼミが生えるのも時間の問題...?

首藤 (12/4, 12/12)

・感想、反省
    最近ハマりつつあった幾何について色々書いたんですが, 知識を整理するいい機会になったと思います. 位相の方はぼちぼち感じていた事とかを書けたとは思うのですが, 多様体の方は本当に定義を書くだけな感じになっちゃいましたね. これは本当に反省してます. 飛ばせるところをもっと飛ばしてベクトル場とか微分形式とかについて説明したほうが良かったかもしれません.

・来年の抱負
    Bott-Tuを読む, 英語をちゃんとやる, いろいろな数学に触れる, など.

・欲しいクリスマスプレゼント
    千子村正FGO

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・渾身の一句
    天井を
     とっととつけろ
      FGO

・編集者コメント
 記事の内容もそうですが、なによりおまけが個性的で面白かったですよね!周囲の人からも結構な評判でした。次回(?)もよろしくお願いします!!

i7_yoc (12/7)

・感想、反省
 自分の記事のほうは結構上手くかけたと思っていますが、もう少し時間をかけて内容を精査すべきでしたね。参考文献の数が少ないな、と感じていたので。あと24日の生態調査のところで長々と自分語りをしてしまったことかな。
 それから、何より大きな反省はこの締めくくり記事を現在進行形で執筆中であることです(現在25日の15時)。せめて下地だけでももうちょっと計画的に作っておくべきだった。。。あとはもう少し新歓部の他のメンバーに情報伝達をするべきだったな、と感じています。

・来年の抱負
 専門分野や将来のプランをしっかりと決める!

・欲しいクリスマスプレゼント
 休暇が欲しいです、、、

・渾身の一句
 行列や
  対角成分
   足した跡

・編集者コメント
 有名な句にインスパイアされた理系575を詠みたいなぁと思っていろいろ調べました。芭蕉の「夏草や 兵どもが 夢の跡」を見たときに、「跡」に「トレース」という意味を持たせられないか?と思いつきました。なのでこの「跡」は「計算のあと」と「行列の跡(トレース)」という2つの意味を持った掛詞になっています。訳(?)は、「行列の対角成分を足して、トレースを計算した痕跡が残っているなぁ」といったところでしょうか。

ふりゅーげる (12/8)

・感想、反省
 Wathematicaは数学物理の方面に造詣が深い方が多かったので、生物の話をどうしたらわかりやすく伝えられるか試行錯誤しました。どこまでを前提知識として用いるかの線引きはかなり難しかったのですが、とても良い経験になりました。

・来年の抱負
 プログラミングをちゃんと勉強したいです

・欲しいクリスマスプレゼント
 次の駅で降りる人がわかる能力

・渾身の一句
 大掃除
  思い出見つけて
   年越える

・編集者コメント
 バイオインフォマティクスの記事とても分かりやすかったです!普段はあまり関連のない分野なのですが、よくあるような数学書と違って前提知識がなくても内容が頭に自然と入ってきた気がします。
 大掃除、、、自分も頑張らないといけませんね、、、

えぽぱか (12/10, 12/21)

・感想、反省
 人生初のアドカレでしたがなんとか2本の記事を書き上げることができてほっとしています!楽しかったですが次の機会があれば直前から書き始めることはせずにちゃんと締切を守れるようにしたいです←

・来年の抱負
 積読になりかけている数学書たちを少しずつでもいいので意識的に消化していきたい

・欲しいクリスマスプレゼント
 図書カード(金額は多ければ多いほどよい)

・渾身の一句
 睡眠時間ゼロにしたい(自由律俳句)

・編集者コメント
 2本記事書いているのすごいです。それから個人的には、githubで個人サイトを作ってそこに投稿しているのもすごいなぁと思いました。いつか真似してみたいものです。

Akira.Sho (12/11)

・感想、反省
 外部に自分の書いた文章を公開するのは初めてで新鮮でした。
初心者にとってはとっつきにくい書き方で、中級者以上にはすでに知られている内容になってまったので、もっとかみ砕いて説明するか発展的な内容を取り扱うかするべきだったと反省しています。

・来年の抱負
 積みまくった数学書を何とかします。

・欲しいクリスマスプレゼント
 大きい机が欲しいです。

・渾身の一句
 証明は
  簡単なので
   任せよう

・編集者コメント
 線形代数、年を重ねる(?) ごとに大事になってきますよね!アドカレ企画としてももちろん、あとから読み返しても有益そうな記事だと感じました。(ものすごく上から目線でごめんなさい、、)

いか (12/14)

・感想、反省
 記事書くのひさびさで楽しかった! けど、計画性がなさすぎて当日の23時に記事を公開する羽目になってしまったのは反省点。

・来年の抱負
 気負わずのびのび生きていきたい

・欲しいクリスマスプレゼント
 気力と計画性

・渾身の一句
 反射律
  反対称律
   推移律

・編集者コメント

 順序関係の公理ですね!

chimaki (12/16)

・感想、反省
 はてなブログの勝手が分からず苦戦しました。誰でも読めて面白いと思えるものにしたいと考えてたんですけど、難しかったです。

・来年の抱負
 ジャンプ力をつけて、ダンクができるようになりたいです

・欲しいクリスマスプレゼント
 HUNTER × HUNTER37巻

・渾身の一句
 証明は
  原論文を
   見てほしい

・編集者コメント
 Wathematicaは来年は体育会系サークルになっていくのか...?? というツッコミはさておき、純粋数学と高校数学・競技数学の要素がどちらも入っていて、いろんな人が見て楽しめる記事だったと思います。
 個人的に、早く論文が読めるほどの実力をつけたいと思う今日この頃、、、

Y・Y (12/17)

・感想、反省
 簡単なことでもきちんとまとめて発表するって難しいんだなって実感しました。結局PDFでの掲載になってしまったので、今度はちゃんとブログで掲載したいです。

・来年の抱負
 コンスタントに勉強する
 課題をなるべく早く倒す

・クリスマスプレゼント
 清潔感とコンスタントなやる気

・渾身の一句
 数式踊る
  ホワボの上の
   小宇宙

・編集者コメント
 一句、ゼミの情景が生き生きと想像できて趣がありますね!「小宇宙」は「果てしなく広がる理論の世界」と「黒板に書いてある宇宙論的な話題」という意味をもつ掛詞なのでは?と勝手に考察してしまいました。記事も面白かったです!

けと (12/18)

・感想・反省
 今年はわせまのおかげですごい人の存在を感じたのでやる気が出てきた2021年後半でした。

・来年の抱負
 石原さとみになる。

・欲しいクリスマスプレゼント 
 体力。

・渾身の一句
【MyWaseda】性教育を、取り戻す。
(2020/11/3 ワセダメール参照)

f:id:wathema-welcome:20211225150224p:plain

・編集者コメント
 自分もWathematicaの人から刺激を受けて有益な1年を過ごせたと思います。来年はどんなゼミが生えるんでしょうね...!
 そして来年の目標に期待ですね(?)。1年後の姿を皆さんで楽しく待つことにしましょう!

にしり (12/19)

・感想、反省
 まさかTwitterで全世界的に告知されてしまうとは思ってなかったので恥ずかしかったです……。忙しくてちゃんとした記事を書けず勢いだけで6,000字の文字ぎっしり文章を書いたのもよくなかったな……という感じがとてもあります。量子化学計算に関してはいい話的なものはないんですけど名前と何をやってるかぐらいは知っていてほしいので今後何かしら書いていこうと思いました。

・来年の抱負
 研究を頑張る

・欲しいクリスマスプレゼント(?)
 物性論ゼミで使ってる青い本,数理物理学で使ってる赤い本,DFTの洋書(Energy Density Functional Method),DFTの翻訳本(原子・分子の密度汎関数法),分子シミュレーションの本(上田さんのやつ),Molecular Electronic-Structure Theory(Helgaker),標準的な固体物理の本,猪木河合の量子論の本,英語の運用能力(願望),体力(切実な願望)

・超渾身のn句
 入門書
  全然入門
   じゃない件

 あっ! 野生の密度汎関数法だ!

 逆写像
  笑わせられたら
   ギャグ写像

・編集者コメント
 Wathematicaのギャク王(?)こと、にしりさんがここで登場です!来年はB4ということで、研究で忙しくなるのかな...?? 研究室の中は自分にとって全くの未知数なので、ただただすごいなぁと思うばかりです。

こまこま (12/21)

・感想、反省
 ブログなるものを初めて書いたのですが、不特定多数の読者を想定するとこの表現では通じないか、もっと興味をそそる表現はなんだろうかと投稿する直前まで悩むものですね。でも意外と楽しくかけたので来年のアドカレ(多分やる)でも投稿してみたいです。
 反省としては勉強しなさ過ぎて学術的な内容が書けず、漫画に逃げてしまいました。次までに頑張ります。

・欲しいクリスマスプレゼント
 誤植を瞬時に発見してくれるアプリ

・きそじ怒りの一句
 読点を
  カンマにするとか
   知るか!!

・編集者コメント
 誤植発見アプリ、自分も欲しいです、、この記事の中にも絶対どこかに誤植があると思うので、だれか見つけてください()
 Wathematica、ただゼミを共同で行うだけでなく、そこから友人関係などが発展していくともっといいなぁと個人的には思っています。漫画をはじめ、勉強以外の話題を提供してくれたのはとてもいいと思いました!

おわりに

 アドカレ企画に携わってくれた会員の皆さん、記事を読んでくれた方々、ありがとうございました!この企画が皆さんにとって有益なものであれば幸いです。

 ここでWathematica Advent Calendar 2021の締めくくりとさせていただきます。

Wathematica Advent Calendar 2021開催!

Wathematica Advent Calendar

Wathematica Advent Calendar 2021 へようこそ!

この企画はWathematicaの会員が12/25までの間、日替わりで記事を書いていく企画です!

記事のタイトル・寄稿者は以下から確認できます。1日ごとに記事へのリンクが追加されます。

また、寄稿者の名前をクリックすると各会員のTwitterアカウントに遷移します。

それではお楽しみください!Merry Christmas!!

12/01 Wathematica新歓部 いま見ているこれ
12/02    
12/03 Hassy 部分多様体にならない例(カスプを持つ曲線)
12/04 首藤 幾何学の入り口1 (位相空間)
12/05    
12/06    
12/07 i7_yoc $\mathrm{P}\neq\mathrm{NP}$問題とはなにか
12/08 ふりゅーげる バイオインフォマティクスとは
12/09 みねるば crush 演算子について
12/10 えぽぱか 中心極限定理の収束スピードについて
12/11 Akira.Sho 線形空間から対角化まで
12/12 首藤 幾何学の入り口2 (多様体)
12/13 せかP 高校数学でわかる面白い数列の話。
12/14 いか 対角化とスペクトル分解
12/15 れふ 早稲田大学先進理工学部化学・生命化学科理学専攻物性物理学専修の実態
12/16 chimaki Burnsideの定理を用いた数え上げ
12/17 Y・Y (ほぼ)高校数学で分かる!! 最小二乗法の直感的意味
12/18 けと 4階等方テンソル
12/19 にしり 電子状態計算イントロダクション
12/20 こまこま 本棚にある漫画を少し
12/21 えぽぱか 工学言語ロジバンをやろう
12/22    
12/23 picklsman 和歌・漢詩のすすめ
12/24 Wathematica企画部 Wathematicaメンバーの生態
12/25 Wathematica新歓部

アドカレ反省会!